一生モノのファイナンス入門を読んだので、そのメモ。
前半は財務諸表の意味や読み方に解説していて、後半からはファイナンスについて書かれている。
前職で会計システムの構築に関わっていたので、財務諸表については、ざっくりとは知っていたが、分析の仕方などは知らなかったので、勉強になった。
ファイナンスについては、以前、何かのファイナンス系の本で、将来の金額を現在の価値に置き換えるようなことを書いてあったような気がするのだが、ほぼ覚えおらず、新鮮な気持ちで読めた。 ただ、最後の方に書かれている資産運用については、すでに知っている内容が多かったので流し読み程度になってしまった。
総評としては、読みやすく会計の知識がない人でも、難なく読み進めることができるのではないかと思う。 ファイナンスについても、自分は初心者だが、難なく読めたと思う。 (数式については、難しいのはなかったが、なんでこうなるの?という箇所は多少あった。。。) この本を読んで、ざっくりとだが、ファイナンスについて知る事ができたと思う。
自分自身、業務で直接使うことはないと思うが、この辺の知識を意識しつつ仕事をしたいと思った。 今度は、もう少し専門的なファイナンス本に挑戦したいと思う。
以下、メモ。
会計の基礎
- 財務3表
- 貸借対照表(B/S)
- 決算時点における資金の調達と状況がわかる
- 損益計算書(P/L)
- 事業期間の収益の状況がわかる
キャッシュフロー計算書(C/F)
- 事業期間のお金の流れがわかる
B/S のチェックポイント
負債と純資産のバランスを見る
- 自己資本比率 = 純資産 / (負債 + 純資産)
- 自己資本比率が 40% 以上あると比較的安定している
流動資産と流動負債のバランスを見る
- 短期的な支払い能力が問題ないか
固定資産を純資産で賄えているか確認する
- 固定資産は現金化しづらいので、返済義務がない純資産で賄えた方が良い
P/L のチェックポイント
売上高と5つの利益を把握する
- 売上高
- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 税引き前当期純利益
- 当期純利益
売上高と営業利益がどれだけ伸びているか見る
売上高に占める利益の割合はどのくらいか
- 売上減価率 = 売上原価 / 売上高
- 売上総利益率 = 売上総利益 / 売上高
- 販管費立 = 販管費 / 売上高
- 営業利益率 = 営業利益 / 売上高
販管費の内訳をチェック
- 固定費がコントロールできているかどうか
C/F のチェックポイント
キャッシュフローの種類
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 企業の本業から上がるキャッシュ(利益が出ているとプラス)
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 投資したり売却した際のキャッシュ(投資しているとマイナス)
- 財務活動によるキャッシュフロー
- 借り入れや株式発行によるキャッシュ(資金調達をした場合はプラス)
キャッシュフローによるタイプ分け(営/投/財)
- +/-/- 健全型
- +/-/+ 積極型
- +/+/+ 安定型
- +/+/- 改善型
- -/-/+ 勝負型
- -/+/- リストラ型
- -/-/- 大幅見直し型
- -/+/+ 救済型
「利益 = キャッシュフロー」にはならない
減価償却の仕方によって利益が変わる
キャッシュフローは変わらない
財務分析
ROE = 当期純利益 / 自己資本
- 株主に帰属する資産を使ってどれだけ稼いだか
ROA = 利益 / 総資産
- 資産全体を使ってどれだけ稼いだか
- 著者が計算に使う利益は、営業利益(一般には複数の利益のどれかが使われる)
ROE より ROA を重視すべき
- ROE は借り入れを増やせば増える(安全性を無視すれば増やせる)
ファイナンス
- ファイナンスの目的
- 企業価値の向上
- 企業や事業の価値の計算
- 「将来に渡って稼げるキャッシュ」を「現在価値」に引き直す
- フリーキャッシュフロー
- 「営業活動によるCF」+「投資活動によるCF」
投資家に自由に還元できるお金
利息
単利
- 常に投資元本に対してのみ利子をつける
- 元本 * (1 + 利子 * 年数)
複利
- 前年までの元本と利息の合計を新たな元本として利子をつける
- 元本 * (1 + 利子)^年数
価値
将来価値 = キャッシュフロー * (1 + 利率)^年数
現在価値 = キャッシュフロー / (1 + 利率)^年数
- 将来の価値を現在の価値に直す際に使用する率を「割引率」という
- 割引率は、国債の金利をベースに信用リスクと事業リスクで決まる
「リスク」とは将来の不確かさ
- リスクが大きい = 予想される収益の振れ幅が大きい
資本コスト(WACC)
企業が資金を集めるために必要なコスト
企業価値を計算する際には、資本コストを割引率として使う
WACC = 株主資本コスト * 株主資本 / (負債 + 株主資本) + 負債コスト * (1 - 税率) * 負債 / (負債 + 株主資本)
お金を出す人が期待するリターン = WACC
有利子負債による節税効果
- 税金は返済後の金額に対して、課税されるので節税になる。
企業の価値
フリーキャッシュフローを現在の価値に引きなおして足し合わせる。
- 永続価値 = 一定の予測期間以降のフリーキャッシュフローの現在の価値
- 予測期間最終の CF * (1 + 予測期間以降の長期の成長率) / (WACC - 予測期間以降の長期の成長率)
企業(事業)の価値 = FCF / WACC
リスクプレミアム
- リスクを取るだけ期待するリターン
- 日本国内は 5~10%程度
買収価値算出方法
DCF 法
- 将来のフリーキャッシュフローの現在価値を合計
EBITDA 倍率
- DCF 法は手間がかかるので、簡易的に用いられる
- EBITDA = 営業利益 + 減価償却費
- EBITDA倍率は、時価総額が EBITDA の何倍になるか示すもの
- 高ければ割高、低ければ割安
時価資産法
- B/S を時価で計算し、純資産を買収額とする。
- PBR = 株価 / (純資産 / 発行済み株式数)
- 1倍を割込んでる場合は、株価水準が割安
投資判断の考え方
回収期間法
- キャッシュフローを単純に足していく
- 事業リスクを勘案できていない
NPVを計算する
- NPV = 将来のキャッシュフローの現在価値 - 初期投資額
- NPV > 0 投資プロジェクトを実行
- NPV < 0 投資プロジェクトを実行しない
- サンクコストは計算に入れない
内部収益率(IRR)
- 投資案件が、平均何%で収益を上げられるか
- NPV が 0 となる割引率と等しい
- ハードルレート
- 最低限の収益率
- 利回りだけに注目して投資判断するのは注意が必要
- 利回りがよくても、NPVの金額が小さい場合がある
投資判断
- 上記のような定量分析と、市場分析などの定性分析で総合的に決定する
- 上記のような定量分析と、市場分析などの定性分析で総合的に決定する